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どうもこんにちは☆

勢いで拍手変えよう!!!!
と思ったら、なぜかログインできないみたいな事態で、
わったわたしながら対応している航輝です。

ま、とりあえずなんとかなればいいよね。

おおふりもこの頃再燃しているので、
何かしら作りたいなぁ、と思いつつ、です。




















気が付いたら俺の手は真っ赤に染まって足元に誰だか分らなかったけれど誰かが倒れてた。
なんで戦ったのかもよくわからなかったけれど、どうやら俺は勝利したらしい。



―――生きている。



何よりも、自分の体温を感じたことに感謝した。
ズキ、と体のあちこちが痛むけれど、深刻な傷はないらしい。
出血も。
掌についている血の割には、控えめらしい。
俺自身に関しては。
右目が少し、切れたか腫れたか、見難いが今のところ支障はないだろう。


そういえば誰なんだろうと思った。
誰でもいいか、とも思った。
今すぐ起き上がって俺を殺しにくるというのではない限り。
倒した相手の事には興味なんかない。



とにかく学園に帰らなくちゃならない、と歩き出す。
夜道だからなのか、殆ど来たことのない場所なのか。
どっちに行けばいいのかさっぱり見当はつかなかった。
まぁ、暫く歩いていれば何か手掛かりくらいは見つかるだろう。
仮にも忍者としてこれからやっていこうとする者たちの集まりで、その中で鍛えられてきたのだから。




・・・・学園?



ふと、何故ここにいるのか、何故足元に倒れている人間がいたのか。
理由が頭をよぎったような気がした。
嫌な予感とともに、呼吸が浅く、鼓動も早くなっていく。



・・・これは何かの試験じゃなかったか?



忍びでいるための試験じゃなかったか?
汗が一筋、頬を伝った。
嫌な予感は益々強くなってくる。




「――――合格だ、潮江」




聞きなれた教師の声がした。
あぁ、そうか。やはり試験だったんだな。




「他の奴らも終わったんですか」
「大体な」
「そうですか」
「お前も、まぁ、遅くはないが早くもないな。てこずったみたいじゃないか」
「・・・多少厄介だったんですよ」

てこずった?
この俺が?
一体どんな相手だったのかも思い出せないくらいなのに?
思い出せないくらいに強敵だったのだろうか。

腑に落ちないまま、学園に戻ろうと再び歩き出す。
と、突然視界が赤く染まった。
右目が焼ける、気がした。



―――お前を恨むよ、潮江



「んだと・・?」
恨むだと? 口の端があがってしまう。
ばかばかしい。お門違いだ。お前が弱かった、ただそれだけじゃねぇか。



焼けるような右目はそのまま凍えるような冷たさに変わる。
「くそっ!」
自分の目がどうかなってしまうのが悔しかった。




―――それは呪詛だ。思い知るがいい




「誰だか知らないが、上等じゃねぇか」
けっと激痛がはしる右目は捨て置き、先程の場所へ戻って焙烙火矢を投げる。
爆破音をきいてから、走り出す。






「くだらねぇ。この俺が呪いなんぞに負けるかってんだ」
生きるか死ぬかで情なんて邪魔になるだけだろ。
呪いがどうした。
馬鹿馬鹿しい。







今でも右目は時々視界が赤く染まる。









「・・・えぇえ・・・怖くないですか、それ」
団蔵が気味悪い、といって嫌な顔をする。
「怖くはねぇけど、まぁ、不便ではあるな」
時々っていうのが余計にな、と笑い飛ばす。

「だから、まぁ、そんなもんだよ、試験なんて」
「そんなもん、て・・・」
絶対嫌なんですけど、と不安そうな後輩を横目に本を閉じる。

「ま、その時の試験は選択制というか・・・。まぁ、人それぞれだったからよ」
お前は違うんじゃねぇの、と言ってやった。
「現に同じクラスでも仙蔵と俺じゃ試験内容は全然違ったしな」
あれはあれで大変そうだったが。
「ふぅん・・・」




忍術学園には、制裁制度がある。
あまりにも学園の不利益になるであろう生徒や教師は、秘密裏に制裁を受ける。
それは死を伴うことも珍しくなく、生徒の場合は試験に使われることも、実はある。




上級生の中で密かな噂になっているこの話は、
当事者が、次に試験を受ける者にだけ話しても良いという決まりがあるらしい。







すべては、ただの噂話。








文次郎














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置いていかれることが何よりも怖かった
一人ぼっちになることが怖くて

寝られなくて
闇に喰われてしまう気がして
何でもいいからぬくもりが欲しくて
独りではないと感じたくて

だから

街に出たんだ




隙間が埋まれば、きっと何でもよかったんだろう




「きり丸ってさ、なんか、すごいよね」
思春期真っ最中の少年たちが話すことの1つには、色ごとがある。
春画も、クラスで回るようになって、数か月。
夜な夜な秘密の逢引が行われていることも、公然の秘密だ。
(とはいえ、それは今に始まったことではなく数年前から、一部では有名な話だ)
「はぁ? どういう意味だよ」
「いやだからさ」
三次郎と虎若が顔を見合わせる。
ねぇ、と苦笑いしながら
「経験が、違うっていうか」
えへへ、と笑いながら言うもんだから、ふーん、とだけ言ってやる。
「武士の兵太夫とか金吾とはまた違うじゃない?」
あいつらは武士の家系である限り、元服する時には女を知る、んだったか。
はっきりとは覚えていないが、まぁ、十三、四にもなれば、そろそろって事なのだろう。
(忍術学園にいる間は、難しいだろうから里帰りの度に皆に冷やかされている)

「俺は、ま、一人だからさ」
何をするのも気楽なんだよ、と笑った。

もっと幼いころは、自分の体だって売ってやろうかと思ったくらいに。
それくらい、一人になったばかりのころは心細くて死にそうだった。
今はもう大丈夫だと言い聞かせているけれど。
闇夜に寝るよりも昼間に眠る方が心地よいのは、このせいかもしれない。
お陰さまですっかりと夜行性、忍者向きといえば忍者向きだ。

「でもよ、考えてみろよ。うちのクラスの野郎ときたらさ」

昔から団蔵は潮江先輩大好きだし。
兵太夫は錫高野さん大好きだし。
そりゃあ俺と庄左ヱ門も含めて、だけれど。

「俺なんかじゃーとてもとても。先輩方には敵わねぇの」
ケラケラ笑って、団蔵と兵太夫が怒って庄左ヱ門は知らんふりを決め込んで。
この話はいつも終わりだ。


昔は闇が怖かった。
独りになるのが怖かった。
人恋しくなるから温もりさえ感じられれば、誰でも何でもよくて。
夜にはよく、街に出た。
体を売るなんて、最初にはそんな気もないから犬と一緒に寝たりとか。
火を絶やさない場所を見つけて(色街が多くなるのは当然だった)
手伝いをして置いてもらったりとか。
自分の汚さに耐えられなくて、川で水浴びをした直後に声をかけられたりとか。
女みたいだねと言われる度に、お稚児さんみたいだねと言われる度に、
ぼんやりと自分の行く末みたいなものが見えた気がして。

働いて働いて働いて自力で生きていくことに必死だった。
目の前で、何人もの女の人が堕ちていったし・・・時々は、のぼっていったのだろうか。
俺にはそれは判らない。
身請けをされる人も中にはいたけれど、その人が幸せになったのかは定かじゃない。

・・・少なくとも、自分自身が行きたい場所じゃないと思った。

武士の連中は衆道だって嗜みの一つで、珍しくもないし
周りの反応からするに、俺自身が行こうと思えばいつでもいけた。
ただ、誰かに縋って生きていくということに、抵抗を感じたからやらなかっただけだ。
もしもあの時、体を売っていたら。
忍者にはならなかった。
もしかしたら、武士として成りあがったかもしれない。

誰かの温情に縋ってその人を待って待って待って。
そんな暮らし方をしたのかもしれない。
武士の才能が無ければ、大人になってからはきっと惨めな生活で。

時々、そんなことを考える。

「庄左ヱ門」
だから、選ばなくてよかったんだ。
「どうしたの、きり丸。何かあったの」
「――いや」
目が、外の闇から離れない。俺の意識が、喰われていく。
「ただ昔を思い出しただけだ」
「・・・そう」
怖かったね、と言うと同時に人の重みがかかる。
背中から温もりを感じる。


置いていかれるのが怖かった
独りになるのが何よりも嫌だった
誰かに傍にいてほしくて、時には街に出たこともある。
でも今は。
ここにいれば、自分の居場所があるんだと。
闇に取り込まれても探し出してくれる人がいるんだと。

信じていいんだと、やっと思えるようになった気がする。
庄左ヱ門。



ありがとう



庄左ヱ門ときり丸
隙間
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取り扱い傾向
食満三木・食満綾・文団 基本的にマイナ。 全て脳内妄想による捏造の産物です。 新たに与四兵始めちゃいました。
プロフィール
HN:
航輝
性別:
女性
自己紹介:

団蔵、きり丸、文次郎、滝夜叉丸は不動のベスト4ですがその他の子たちも大好きです。その時の熱の入り方によって傾向がかわるやもしれません。
連絡先→ ar.k512.roger★hotmail.co.jp ★→@でドウゾ。
twitter→takeya_chika(航輝)です。時々つぶやいています。