蝉と

左近!!!!て思い立ち､書き出したのですが｡上手くオチず｡
困ったときの土井ちゃん絡みのはずが､出来なかったので慕情にはなりませんでした｡
ホントは市川さん誕生日に､とか思っていたんだけどなぁ…
間に合いませんでした｡笑
どうもすみません!!笑


？左近です。





















外でなく蝉がミンミンうるさい｡
あぁすっかり夏なんだなぁと思うレベルなんかじゃなくて｡ミンミンミンミン｡集中したいのに蝉が気になるなんて最低だと思う｡集中できない言い訳だ｡
でも､気になって集中できないんだ｡宿題にも､鍛錬にも｡
上の空なら何をしようと変わらない､なんてそんな筈がないのも判ってる｡
言い訳なんか何でも良かった｡
貴方に会いに行く｡
行かなきゃいけない気がしてた｡



暑くて熱くて､どこか寒くて､数刻働いただけで､すみません休みますと言った私を､誰も咎めもしなかった｡
お大事に､早く治すようにという言葉が背中を押した｡
重い足を引きずるようにして部屋に戻る｡



寝台に倒れ込むのと声を掛けたのが同時で､寝台に倒れ込んだ途端にこっちに顔だけが向いたのに少し笑った｡
｢…あぁ吃驚した､どうしたんです今日は｡あぁ､もしかすると朦朧としてる私の幻覚…とか…｣
呟いたままに目を閉じられてしまって少し焦る｡
｢幻覚じゃないです｣
僕は此処に｡
貴方のそばに｡
｢…左近さん｣
感染ってしまう､と離れるように手を振られた｡
｢じゃあ幻覚で良いです｣
だから感染らないでしょう？

熱い額｡熱い掌｡
汗を拭い､濡らした手拭いを首元にあてる｡
時々起きては僕を気にする｡時間は大丈夫か､ご飯食べたか､自分の心配が先だろうと思うのに｡病を得てもこの人は｡
｢保健委員で良かったなぁ…｣
おかげでオロオロせずに済んでいる｡


｢じゃあ､行きますからね｣
最後に額の手拭いを替えておく｡


これで寒気がするなんて言い出したら笑えないな､と思う｡
まぁ､その時は久作と三郎次に任せるだけだけど｡帰ってきた途端に鳴き喚く蝉｡ミンミンミンミン｡うるさい蝉の声に包まれて寝込むなんて冗談じゃない｡