忍者ブログ
[103] [102] [101] [100] [99] [98] [97] [96] [95] [94] [93]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

うちにあるカプ色々出そうな感じで始めてみました。
1話完結をちょこちょこと、になる予定。























この前に立花先輩を見たとき、何かが気になった。でもその何かが分からなくて、次に、あ、と思ったのは別の日の田村先輩を見上げた時だった。

「…ねぇ先輩?」
「どうした」

委員会の後に宿題を見てやると言われたままに、僕は今、潮江と立花の札が掛かった部屋にいる。
部屋の主の1人は、僕を見て、先輩を見て、口の端を持ち上げて部屋から出て行った。今夜はあっちだ、と言い残して。
別に気を遣わなくても良い、と先輩が呟いたのを聞き流してヒラヒラ、漆黒の髪がなびいた。
そう言えばさっきは何も気にならなかった。

「先輩」
「…だから、どうした?」

仕方がないとため息が聞こえる。
きゅう、と腰の辺りに抱きついた。

「立花先輩は」
「ん?」
「僕がいるから…?」
「なんだ?」
いつも出て行くイメージが、と言えば、あぁ、と頷く。
「イイ人が居るから良いんだよ」
「え?」
出掛ける理由になるから丁度良いくらいだ、と笑う先輩を見つめてしまう。
「た、え、イイ人?」
動揺がモロに言動に出るのはどうかと思うが仕方ない。
「立花に相手が居ちゃ悪いかよ」
意外か、そうかもな、あの立花だし、と1人で納得して先輩は喉の奥で笑う。
「えーと」
だからつまり、
「アイツが出て行くのは気にするなって事だ」
「そうですか」
「おう」
そうなんだ、とホッとしたような気恥ずかしいような、色々な気持ちがごちゃごちゃしてる。
「あ、えと!!」
「ん?まだ何かあるのか」
「鬱血の跡があるっていうのは、…何か意味が、え?先輩」
面白そうな顔をする先輩に、思わず黙る。
ぐしゃっと撫でられて、悪い、と謝る声が聞こえた。
え、え? 先輩?
口元を隠しても目が笑ってる。
「鬱血の跡だって? …見た覚えねぇな」
「えー…? でも、何か気になって、その時は判んなかったんですけど、田村先輩を見た時に」
「田村だぁ?」
「え、はい」
「ま…た、アイツ…、お前、聞いたりしなかっただろうな」
心なしか肩が震えている気がした。なぜだろう。
「? してません」
「そうか。聞いてやるなよ、頼むから」
「? はい」
なんで、と思ったけれど黙っておく。
「別に立花と田村が殴られてるって事でもねぇし、まぁ、なんだ、悪かねぇんだと思うぞ。俺はそれ見た事ねぇけど」
「ふーん…?なら、いいです」
先輩が僕を引き寄せる。
「おまえ意外に目敏いな」
「意外ですか」
サラ、と前髪をかきあげられる。口づけが1つ、そのまま落ちた。
…ドキドキしだす、心臓の音がやたら気になる。
「な、団蔵」
「はい。…わっ…ちょっと」
くすぐったくて笑ってしまう。
頭巾を解き、首元を寛げ、首筋に指を滑らせ顎を撫でる。そのまま首に唇が這う、さらに舌がなぞる。頬がみるみる赤くなる。熱いのが分かる。
胸元に顔を埋めた先輩が目線を上げた。目が合った瞬間ふっと笑う。ピリッと小さな痛みが走る。
軽く身震い。ゾクゾクする。何だろう。
「な、鬱血」
唇を離して先輩が笑う。
な、と言われても、どうしていいかわからない。
えーと、と先輩を見る。困ったような先輩が適当に服を直してくれて、外からは見えないんだなと少し安心した。
「フツーは見えないようにすんだよ…」
僕の心を見透かすかのように声が降ってくる。
「そうなんですか」
「そりゃそうだろ」
照れるだろ、と笑いながら頭を撫でる。
「だから仙蔵にしろ田村にしろ、バレるなんてらしくないんだけどな」
「へー…」
「他の奴もそんな事言ってねぇしな、お前どこで見たんだよ」
「えー…?」
どこだろう。
「そんな珍しい場所じゃなかったと思うんですけど…?」
ふっと見上げたら目についた、そんな感じ。
「ふーん」
今度アイツらに言ってやろ、とニヤニヤしてる先輩を見る。
これ、どうしよう、と鬱血を見て途方に暮れる。
「これってからかわれるような物なんですよねー?」
「ん、あー…や…お前らはまだ分からないんじゃねぇ?」
「はー…剣術の授業で脱がないようにして…実技の授業で脱がなければいいんですけどー」
水練じゃないことを願っててやるよ、と笑われた。
笑い事じゃないって言うのに。

一体何だって言うんだろう。
PR


忍者ブログ [PR]
取り扱い傾向
食満三木・食満綾・文団 基本的にマイナ。 全て脳内妄想による捏造の産物です。 新たに与四兵始めちゃいました。
プロフィール
HN:
航輝
性別:
女性
自己紹介:

団蔵、きり丸、文次郎、滝夜叉丸は不動のベスト4ですがその他の子たちも大好きです。その時の熱の入り方によって傾向がかわるやもしれません。
連絡先→ ar.k512.roger★hotmail.co.jp ★→@でドウゾ。
twitter→takeya_chika(航輝)です。時々つぶやいています。