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食満さんと三木です。
接点ないです。
えぇ、そりゃもう。

2人が好きだからというだけで考えたものですから。
















その日は朝から調子が悪かった。
小平太はバレーボールを二つ続けて叩き割ってくれたし、文次郎は握り飯で壁を破壊していたし、そこまでは日常茶飯事としても、今日に限っては仙蔵までもが真っ二つに割れた手裏剣の的を持ってきてくれた。
鍛錬は結構、委員会活動に後輩の指導も結構。勿論、新しい火器の製造は結構だが、お願いだからもっと山の奥でも池の底でも良いから周りに大した損害を与えないと場所で実験して貰いたい。
言うだけ無駄だろうな、と考えて食満はこの日何度目かのため息をつく。
それでも黙って壊れた備品の数々を修繕しなくては、あっと言う間に学園中の物が壊れたままになってしまうだろう。
吉野先生の怒り狂う顔が目に浮かぶようだな、と僅かに笑みをこぼしながらも手は動き続ける。
カラカラ、と戸の開く音がする、食満は僅かに気をそちらに傾けた。
「あの・・・」
少しだけ開いた戸の隙間から、見慣れた4年生2人が顔を出した。
平滝夜叉丸に田村三木ヱ門。
本来なら仲の悪い(というよりは好敵手だろう)2人がそろって顔を出すなんて、と嫌な予感に内心舌打ちをしながら返事をする。
「どうした」
その間も手は休むこともなく、折れた板を取り替える作業に移る。
「すみません!食満先輩、あの、これ・・・」
田村がそっと何かの欠片を差し出してくる。
それと同時に平も口を開くと同時に頭を下げる。
「私のせいです。石火矢の自主練習をしていたときに田村と口論になり、ついカッとなってしまって、石火矢で撃ってしまって、その。・・・屋根を」
嫌な予感は当たるもんだな、と小さく呟いて完成した的を持って食満は立ち上がる。
その何気ない呟きが聞こえてしまったのか、2人は小さくなっている。
「やってしまったことは仕方がないからな」
2人の頭に手をやって慰める。
「それよりもお前たちに怪我はなかったか。周りに下級生たちはいなかったんだろうな?」
顔を上げた2人が小さく肯くのを見て、よし、と声をかける。
「すぐ行くから、心配しなくて良いぞ。気をつけろよ2人とも」
「はい!」
背筋をのばし、引き締まった声で返事を寄越した2人を見送り屋根を修繕するためには・・・と考えを巡らせ始めた。

屋根に登ったはいいいが、予想以上の穴の大きさに、思わず空を仰いでしまう。
「マジかよ・・・」
とにかく自分が直さなければ直らないのだから、と用具委員長としての諦めにも似た心境で屋根の修繕に取りかかる。
と、手元が人影によって暗くなる。

「食満先輩」

「・・・今度は何だ?」
傍らに立っていたのは本日2度目の田村三木ヱ門。
今度は相手にも聞こえるくらいの溜息をつきながら、顔を上げた。
今日はもう止めようかな、と吉野が聞いたら叫びそうなことを思いながら後輩を見る。
「あの、わ、私も手伝わせていただこうと、思いまして」
滝夜叉丸の奴も行くと言ってたんですけど七松先輩に半ば引きずられて行ってしまったので。
たったそれだけのことを言うのに何処か必死になっている後輩が珍しくて、しげしげと顔を眺めてしまう。
見つめていると「柄じゃないって顔しないで下さいよ」と照れたように言ってくるのを、やっぱり珍しいなと尚更見てしまう。

ーー可愛いとこあるじゃねぇか。

今まで、会計で文次郎に振り回されていたり、滝夜叉丸と張り合っていたり、火器オタクくらいの認識しかなかったけれど、意外に良い奴なのかもしれない。
「・・・それなら手伝って貰おうか」
正直、人手があると助かるしな、と肩を叩く。
「はい!」
うれしそうに笑う田村を見たのも初めてだな、と気づいて思ったままに口を開く。
「お前、勝ち誇ったり、何か企んでるような顔よりもそっちの方が良いぜ」
その方が後輩からの印象も良いだろうに。
「は?そっち、ですか」
きょとんとする田村に「良い、何でもない」と手を振って、修繕するぞと穴の正面に移動する。

ーー俺だけが知ってるって言うのも悪くないかもしれないしな

あとで文次郎のところに行こうと決めながら、田村に指示を出していく。
「夕飯までにちゃちゃっと終わらすからな!」
「はい!頑張りましょう!」

何か新しいことが始まる気がして、口の端が緩むのを止められなかった。
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取り扱い傾向
食満三木・食満綾・文団 基本的にマイナ。 全て脳内妄想による捏造の産物です。 新たに与四兵始めちゃいました。
プロフィール
HN:
航輝
性別:
女性
自己紹介:

団蔵、きり丸、文次郎、滝夜叉丸は不動のベスト4ですがその他の子たちも大好きです。その時の熱の入り方によって傾向がかわるやもしれません。
連絡先→ ar.k512.roger★hotmail.co.jp ★→@でドウゾ。
twitter→takeya_chika(航輝)です。時々つぶやいています。