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花が舞う。
花粉も舞う。
…春です。
皆さんいかがお過ごしですか?
航輝です。


1月全く更新しなかったな…

2月も今日で終わりです。




こんなはずでは(笑)


2月最後に上げておこう!!!!

























あ、邪魔になるかも知れないと思った途端、目があった。冷めた視線に背筋が凍る。
ふっと柔らかな笑みに変わるのを見て漸く安心出来た。僕は僕と判別されたらしい。雰囲気も別人の、いつものこの人。将来は常に殺気に触れる可能性を考えれば、いい訓練なのかもしれない。
「…もう、そんな時間なんですね」
言いながらも特に手を止めることもなく、サラサラと書き付け片付けていく。
「すみません、最近は間者が多くて」
「…いえ」
僕らの大半はゆくゆく間者になることを思えば皮肉なものだ。
「こんなところにも来るんですか」
「えぇ、まぁ」
「こんな時間に?」
「寧ろ多いですよ。…分かるでしょう?」
「そうですね」
全く、笑うしかない。
夜は忍者のゴールデンタイムと僕らでさえ思っているのだから、当然だ。
「さて、あと…半刻くらいで終わるとは思いますけど」
「何時でもいいですよ」

「あまり出歩かれると、困ってしまうんです」
物騒ですから、と。
「…ここにいますよ」
「そう」
「………」
正直なところ、この部屋には僕が暇を潰せるようなものは少なくて、数多くある書物も残念ながら判読不可という事実にやや凹む。
読めばいいだけのこと、なんだけど。
習うより慣れろと言う格言も世の中にはあることだから不可能ではないはずだ。
…やるかどうかは別として。
「今日、そういえば土井先生が」
「はい」
「何となく、可愛らしかったんですよね」
「はい?」
「お休みですか?」
「え?」
休む人なんていませんけど、と言ってから頷いた。
「遠出から帰る予定があったんですよね。…確かあの人、任務終了直後は花が散ってる感じでしたよ」

「……」
「……」
「花が?」
「花が」
「……」
「……」

顔を盗み見たら、チラリと目があった。
悪戯っぽく目が笑う。

「似合わないでしょう?」
「…似合いませんね」
クスッと笑いながらも手はだまって書簡に書き付ける。

花、ね。
土井先生も何となく、滲み出ると言うか押さえきれない雰囲気と言うか。
い組の(安藤先生の)鼻をあかしてやったみたいな時以上に隠しきれてなくて、事情を知る極一部の視線が絡み合ったのは内緒だ。

「幸せそうですね」
「幸せみたいですよ」
「先生からも滲み出ちゃうくらいにですしね」
「そんなこと言ったら殴られますよ、私もこの前」
酷い人だと思いません、と書簡を揃えながら続ける。
「どこが良いんでしょうねぇ戦以外でかっこいいとか思われなさそうなのに」
「…ギャップ萌え?」
「?」
「あんな怖そうなのにってことです」
「実はバカですからね」
「怒られますよ」
「いつものことですし」
「良いんですか」
「今、絶対に幸せ過ぎるバカやってるんですから、それくらいは」
「許してくれますか?」
「まず気付かれないでしょうね」

…そうかもしれない。
アハハと笑えば、でしょ、とクスクスと小さく笑いながら立ち上がる彼の両手に山のような書簡。
「届けたら、今日はおしまいです」
「はい」
「いい子にしてるんですよ」
「…バカにしないでくださいよ」
「ばかにだなんて、まさか」
「だって!」
いい子って何ですかとワザと頬をふくらます。
「お願いですから、左近さん」
腕には書簡の山を抱えて寝台に座る僕を見る。
「身長がもう少し伸びるまで、多少の子供扱いさせてくださいよ」
申し訳なさそうに笑うこの人ときたら。
ね?と小さく言ってから部屋を出ていった。

「ね?じゃないですよ…」

たとえ直ぐに僕の背が伸びたとしても、子供扱いするくせに。

「僕は、早く貴方に追い付きたいのに…」
身長なんて自分じゃどうしようもない上に、忍としては、高すぎると不便なのではないだろうかとも思う。


もっともっと、大人になれば。

身長なんて気にしてましたね

子供扱いするなってよく言ってましたね

部屋に入る時は怖いのに、
僕を見た瞬間は花散ってましたよね、とか


…そんな笑い話が出来るようになるのだろうか。


もっともっと大人になれば。
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取り扱い傾向
食満三木・食満綾・文団 基本的にマイナ。 全て脳内妄想による捏造の産物です。 新たに与四兵始めちゃいました。
プロフィール
HN:
航輝
性別:
女性
自己紹介:

団蔵、きり丸、文次郎、滝夜叉丸は不動のベスト4ですがその他の子たちも大好きです。その時の熱の入り方によって傾向がかわるやもしれません。
連絡先→ ar.k512.roger★hotmail.co.jp ★→@でドウゾ。
twitter→takeya_chika(航輝)です。時々つぶやいています。