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久し振りすぎて泣けてくるよ!!
どうもこんばんは。
航輝です。



もう11月ですね。
私は忍たまに置いて行かれているよ…
あぁぁ。。。









とにかく更新。



























血が上った頭には冷たい土が心地良かった。
少しずつ、少しずつ、沸点に達した熱がおりていく。
それなのに僕の鼓動は静まらなくて、外に聞こえるはずもないのに、音が洩れて聞こえてしまうんじゃないかとヒヤヒヤしてた。

僕は今、何という状況に置かれているんだろう。


風見鶏9


「なぜ逃げるんだ」
「逃げたいから」
「何を今更」
「今更だけど!!」

長屋の外で風の音がした。
だから分かる。
僕に分かるように毎回、忍んでいる様で忍ばずに来るのだから。

「待っていただろ」
「待ってない」
「嘘をつくな、兵太夫」
「嘘じゃない!」

僕の心を見透かすな。

「だって僕らはまだそんな仲じゃないから!」
「はぁ?」
「そんな仲じゃないの」
「何を言ってるんだ・・・?」
「分からなくていいよ、ただそんな仲じゃないの!」



僕が仕掛ける罠には、いくつかの目的がある。
練習のためもあるし、勿論好きだから作るのもある。
時々現れる侵入者にも役に立つときがあるのは誇らしい。

でも、今は、違う。
天から降る罠が多いのも、地に落とす罠が多いのも、捕えたくて仕方ない相手がいるからだ。
それなのに。残念なくらいに、捕えるつもりで捕らえられてしまったのだろう。認めたくないけど、認めているけど、やっぱり面と向かって認めたくないから逃げ出した。
だって、僕らはまだそんな仲じゃないということにして。

「おいおい、そんな仲って何だーヨ」
「なんでもいいでしょ」
「良くない、兵太夫」
「何で」
「お前が気にするからだ」
そんなに気にするならば、きっと重要なんだろう?
後ろから抱きあげられて、耳元で囁かれた。
背筋がざわめく。と、視界が落ちる。
「ちょっ・・・」
ここは何かあった気がする。
何かと言ってもまぁ、僕の罠、だけだけど。
落ちる罠。浮かぶ罠。
僕らは一緒に落ちていく。


狭くて冷たい穴の中。落ちる前に抱かれていた体は、落ちた後もそのままだ。というより落ちた瞬間に庇われたんだろう、この人に。

上った血は徐々に降りてきた。
鼓動は、未だ。
早鐘を打つまま、僕は抱きしめられたまま。
背中に感じる体温を振り払いたくて感じていたくて、恥ずかしくって居心地悪くて。
思わず悪態が口をつく。

「あぁもう最悪ー…」
「何だーヨ」
「アンタの所為ですよ」
「元はお前の絡繰だろ」
「アンタの所為ですからね」
「まぁ良いけどヨ」
「ふん」
「なぁ兵太夫ー」
「なに」
「お前眠らないか」
「今?」
「寝ないか」
「なんで」
「俺のために?」
「意味が判りませんけど」
「判らなくていい」
「やだ」
「そう言うな」
「嫌なものは嫌」
「そうか」

なら、良い。

そう言ってこの人は僕の出方を待っている。
きっと待っている。
僕が気になって仕方なくなるのを、きっと。
悔しいから今回ばかりは聞いてやらない。

「毎回思うんだけどヨー」
「はぁ」
「蓋付きって結構手が込んでるよな」
「はぁ」
そうかな、と僕は考えながら返事をする。
「俺のためだろ」
「はぁ」
この人の自信の源はどこなんだ。一度で良いから打ち砕いてみたいし枯らせてみたい。
…今の僕じゃ恐らく無理だろうけれど。

「寝ないか」
「意外にしつこいね」
「兵太夫」
「なに」

後ろから前に回る腕に僅かに力が籠もる。そろそろ僕の力じゃ外せなくなる。今までは緩めてくれていた両腕の力。

「…なんですか」
「寝ればいい」
「嫌ですよ」
「何で」
「アンタがいるから」
「…正しいな」

くすっと笑ったのを感じて嫌味にもなりゃしないと口の中で呟く。

「間違いないな、兵太夫」
「はぁ」
「俺と共に居る時に眠らないと言う選択肢は正しい」
「そうですか」

なんなんだか、何でそんなにも誉められるのか意味が判らない。
僕は正しい事を言ったのか?

「アンタこそ寝たらどうですか」
足柄山からわざわざ此処へ来て…疲れてはいないかも知れないけれど、休めるときに休んだ方が良いのだろう。
「俺は別に」
「休めるときに休むのって当たり前でしょう」
「そりゃな、そうだけど」
「じゃあ、どうぞ」
「寝たくない」
「何で」
「お前がいるから」
「はぁ?」

何で、僕がいたからって気にすることはないじゃないか。
いやまぁ立場としては気にすべきだけど、今現在はそんな殺してやりたいほど憎んでもいないのだから、そこそこ安全。…のはずだ。

「意味が判んないんですけど」
相変わらず後ろにいるこの人を見上げると、笑っている瞳にぶつかった。
「お前が傍に居るのに、眠ってしまうのが堪らなく惜しい」
笑いながらなんて、なんかずるい。
そんな真剣に言われるなんて思ってなかった。
「ふざけてんですか」
「…まさか」
鼓動は速くなるばかり。
抱きしめられている背中が熱い。触れている部分から何もかもがバレてるんじゃないかと、僕の気持ちも、今の気分も、全部全部。
「兵太夫」
ふわふわ、体が宙に浮いているような、痺れる、ような。
やっぱり頭に血が昇る。
「…何…」
「寝た方が良い」
「ヤですよ、何で」
「俺は眠っている相手をどうこうするつもりはないからな」
「……な、え?…ちょっと」
さっきは寝ないのが正解って言ったくせに。
そんな事を言われて眠れる奴がどこに居るんだろう。
きり丸だって、団蔵だって、…きっと田村先輩だって。
こんな状況で寝れる訳ない。
でも、きっと寝ても平気なんだ。次もあるし、何より彼らは敵じゃない、同じ忍術学園の生徒なのだから。

「…僕らはそんな仲じゃないから、出来ないですよ」

いくらその立場が欲しいとしても、僕らはダメだ。同じ学園でもないし、…そりゃ関係は良好で、うちと風魔は対立もしてないけれど。

「そんな仲って何だ」
「…だから僕は起きてて良いんです」
「おい」
「しないでしょ?」
「おい、兵太夫」
眠ると勿体無いのはこっちだ。アンタは滅多に来ないくせに。寝ている相手にはしないだなんて。起きていたってしないんだから、どちらと変わりはしないだろうに。
「何を拗ねてんだお前」
「別に拗ねてない」
「嘘言え」
「拗ねてない」
背中に触れてた体温が少し、遠ざかる。
名残惜しいような、寂しいような、あぁもう、僕のバカ。

「何もしないでしょって言ってんですよ」
「どういう事だ?」
「起きても寝ても変わらないでしょって」
静かな、でも強い光を湛えて僕を見る。あぁ、この人のこの視線に吐き気がする。――緊張で?今さら、なんだと言うんだ。
「しないでしょ、あんたは」
どれだけ普段ふざけたところで常識人で気遣いもあって、意図的に傷付けるなんて事はしないはずで、だから僕に何もしないに決まっている。

「あんたは優しいから、だから」

――僕を傷付けたくないんでしょ。
傷付けるとは限らないのに確かめもしないで。

「ズルいよ」

どうして良いのか判らないんだ僕は。
あんたが少しだけ牙を覗かせる度にどうしようもなく不安なんだ。

「何も知らないでしょ、だから何もしないじゃないか。違う?」

頭の片隅で警鐘が鳴ってる。
だめだ、これ以上、言ったらだめだ。
目の前で、目の光が強くなる。

「…あんたはそうやって僕を試すだけだ!」

あぁ、お願いだ、見ないで欲しい。

「…ズルいよ…」
「ズルいか」
「酷いでしょ」
「ひどいか」
「……」
「きらいか?」

そういうのが腹立つんだ。
きらいなんかじゃない。
でもきっと、それすらも解りきっていることだから訂正だってする意味もない

「俺は愛しく思っているんだがな、兵太夫」
「…酷いよね、ホント」
「そうか」
「うん」

酷い人だよ、と呟いて、僕は顔を隠してしまう。


カタカタと落とし穴の蓋が揺れた。
風が迫る。

途方に暮れた僕は、この人が吹かせる風がなければ、どうも動けないらしい。
…もしかしたら、僕が起こす風を、この人は待ち望んでいるのかもしれないが。



カタカタカタと落とし穴の蓋が揺れた。
風魔は風を連れてくる。
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取り扱い傾向
食満三木・食満綾・文団 基本的にマイナ。 全て脳内妄想による捏造の産物です。 新たに与四兵始めちゃいました。
プロフィール
HN:
航輝
性別:
女性
自己紹介:

団蔵、きり丸、文次郎、滝夜叉丸は不動のベスト4ですがその他の子たちも大好きです。その時の熱の入り方によって傾向がかわるやもしれません。
連絡先→ ar.k512.roger★hotmail.co.jp ★→@でドウゾ。
twitter→takeya_chika(航輝)です。時々つぶやいています。