拍手SS 3/16～22

昨日新しくしたので古い分をup














？綾部

穴を掘る
穴を掘る
穴を掘る

泥だらけになった顔を拭い､月を仰ぐ｡

貴方も今､同時に過去に､同じ月を見ていたのだろうか｡
悠久の時を経て同じ物を見れるのならばそれはそれで幸せかもしれない｡

月が綺麗ですね
あなたのところはどうですか

胸の内で念じてみたけど､やっぱり返事は聞こえない｡
当たり前だけど､寂しくなった｡
これって同じ月だけど違う月なんですねと言いたいだけかもしれない｡
それだけだ｡
会いに行きたいけど会いに行けない｡

だから私は穴を掘る｡





？左近

――あ､寝てる｡

書簡の山が出来た机に突っ伏して､この人が寝ているのを初めて見る｡
すやすや｡
吐息が漏れるのを暫し見つめる｡

普段は可愛いと僕に言うけど､こんな時はこの人も十二分に可愛らしい｡

布団を探してかけてやる｡
起きたときに､どうして起こさなかったと言われるんだろうなと考えて苦笑した､
まぁ､そんなの構わない｡
疲れているだろうに､起こすなんて出来ないし｡

時々は寝顔も良いかなって｡

そう言ったらどんな顔をするだろう｡
やっぱり可愛いんじゃないかな､と思うと自然に笑みがこぼれた｡