残した一歩７

久々に

















学園長の気まぐれで､３日間下級生と組んでサバイバル､とやらが行われるらしい｡
５､６年の実習の一環として､だそうだ｡実際のところはどうだか知らないが｡
組む相手は１､２年が引くくじによる｡
人数の都合で組まない１､２年と３､４年が妨害に回ると聞いた｡

仙蔵が審判の先生方の話を盗み聞きしたところによれば､
｢護衛の実習という話だ｡言ってしまえば足手まといの１､２年を守りながら課題をクリアすること､という感じだそうだ｣
…らしい｡

｢５､６年の妨害が下級生って､おかしくない？｣
手加減してこてんぱんにしてやるけどさー､と通じるがどこか間違ったことを小平太が言う｡
｢…手加減…｣
｢情けを掛けちゃダメって事なんだろうねぇ｣
お前が１番な､と言う仙蔵に､大丈夫だよーと伊作が口を尖らせる｡
｢だってさ､適当にあしらえると思わない？｣
ムキになる必要なさそう､と伊作は笑顔だ｡
｢当然だな｣
｢なにを考えてんだ学園長は｣
食満が溜息混じりに呟いた｡
｢…またどうせ下らん楽しみだろ｣
嫌な予感もするし｡最初から遊ばれてると思うと腹が立つ｡
｢聞こえるよ､もんじ｣
｢ふん｣
聞こえて何が悪いんだよ｡
｢…興味あるけどな､下の奴らの妨害｣
｢私もー!!４年は結構期待出来そうだし!!!｣
｢僕は心配だけどね…｣
｢味方をも妨害しそうだからな｣
仙蔵と伊作が溜息をひとつ｡
｢…食満…｣
｢お？｣
長次が楽しみだと呟く食満の肩を叩いた｡
｢…女装…｣
｢なっ｣
頬を僅かに上気させては抗議をしても力がない｡
｢気をつけなきゃなぁ？｣
ぽん､と肩を叩く｡
｢田村に狙われたら終わりだね｣
ぽん｡
｢大変だなーお前と組む奴!!!｣
ばし｡
｢弱点が分かり易すぎるからな｣
ぽん｡
｢…気の毒｣
ぽん｡
｢お前等なぁ…｣
抵抗力があるってことにはならねぇのかよ､とブツブツ言いながら外を見る｡ザマねぇな､食満の奴｡

｢…他人事じゃないだろう？お前は｣

仙蔵がニヤリと笑い俺を見た｡
｢…なんでだよ｣
｢加藤がお前と組むとは限らないぞ？｣
｢いや普通組まねぇだろ､クジなめんな｣
｢我々より人数が多いのだから､妨害組かもしれんな｣
｢…だからどうした｣
｢留三郎を笑ってはいれないだろう？｣
｢だからなんで｣
｢加藤相手に戦えまい？｣
｢…あのな｣
俺を誰だと思ってる｡
相手に僅かな好意が(僅かどころでなくとも)あろうがなかろうが｡
｢任務が先に決まってんだろ｣
見くびられては困る｡
｢ほほう｡…ま､楽しみだな｣

いやいや｡
これは実習だろうが｡
お前が楽しむ要素は皆無なはずだろうが｡