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こんばんは☆

髪を切っても髪型を変えないから気付かれない。
航輝です。





熱が保たれているうちに、こういうのはさくさくUPするのがいいよね!!

















休みの日なのに、馬小屋に団蔵がいなかった。
何か変だな、とは思ったけれど急な先輩の突撃も可能性としてはない訳じゃないし…と、その時は大して気には止めなかった。
僕は学級委員の会議で使う買い出しがあって、きり丸だってバイトに出掛けてた。
他にこんな些細なことを言えるような相手も今じゃ学園の中には殆どいない。

――夜には帰ってくるでしょ。

もうなにも分からないような子供じゃないんだから。
秘密のひとつや二つ、誰にだってあるものだ。

「なー庄ちゃん」
「なに?おかえり、きり丸」
「ただいま。お前今日、団蔵見た?」
「や、見てないよ」
「ふーん…」
「何か揉め事?」
「いや…なんか、タカ丸さんとこからスゲー勢いで走っていったから」
「……」

別に戦う会計委員会の誰が走り回っていても構わないんだけれど。

「タカ丸さんとこってのは、気になるなぁ…」
「だろ?」

こくこく頷きながら寝そべるきり丸を横目で見ながら宿題を片付ける。

「俺らまだ無断外泊禁止だからさ、学園には帰ってくるとは思うんだよな」
「まぁねぇ…」
「でもなー!!」

きり丸がめんどくさそうにため息を吐く。

「団蔵が隠しておきたいんだったら何も言えねぇしなぁ…」
「余計なお世話だもんねぇ」
「今回、なーんか微妙な感じするもんな、な!」
「うん…」

団蔵が休みの日に馬に触れずにどこかに出掛けるだなんて、いつもなら先輩のとこでしょと言い切ってしまうような、特別なことでは全くなくて。
タカ丸さんのところにいたというのが気になるだけで。

「まーでも、様子見?」
「…だな」

きり丸と顔を見合わせてヘラっと笑う。
庄ちゃん、と呼びながら僕の方に手が伸びてくる。
やれやれ、と思いながらその手を掴んで引き寄せた。
目の前に顔が来て、勢いのまま不自然に見つめ合ってしまうのがおかしくて、2人でニヤリと笑った。

「でもさ、町の事とは関係ないんだけど、最近やたら多くない?」

きり丸の背中を抱き締めながら、どうも気になってしまった事を呟く。

「うん?」

目の前にある僕の手を玩びながらきり丸が続きを促してくる。

「団蔵の噂」

ああ、と納得したように頷いた。
僕の手に飽きたのか、今度は自分の髪を触りながら考えている。

「結構聞くけど、いいも悪いもって感じじゃねぇ?気になるほどか?」
「先輩たちから全く良い話を聞かないのが気になるんだ」
「下級生からは親しみやすいって評判なのに?」
「んー…6年の先輩はもう、普通に字が読めないとかなんだけど」
「それは常だろ」
「まぁそうなんだけど…」
「違うのもあるってか」
「馬バカとかなら良いんだけど。……団蔵が色を売ったなんて聞いたことある?」
「はー? 俺じゃなくて?」
「きりちゃんなら驚かないんだけど、ていうか僕は嫌なんだけど…」
「ごめんって!!してないから庄ちゃん許してーン」
「やだ。…じゃなくて、聞いたことある?」
「ない」
「だよねぇ」

ふるふる、と緩く首をふるきり丸が低い声で尋ねる。

「そんな話があるのか」
「ちょっと前から…あーいや、学年上がるくらいからかな」
「そんな前から?」
「きりちゃん内部の噂にも敏そうなのに」
「あー…まぁ、な。正直全然気にしてなかった」
「まぁ、結び付かない相手ではあるよね」
「だろ?」

きり丸の声が我が意を得たりと明るくなる。

「ていうかさ、そんな器用じゃないぜー団蔵は。学園の奴らなら判りそうなもんじゃねぇの」
「そりゃ、信じる人がいるならその通りだけど」
「あ…そっか」

ぽん、と手を打つ。
次いで満面の笑みで言い放った。

「信じやしねぇよなぁ…!!!」

しみじみ言われる団蔵の人徳というか、なんというか。
僕も団蔵を知ってる人間が、そんな噂を信じるなんて思えないんだけど。
でも、だからこそ噂が消えない事が不自然に思えるんだ。

「団蔵って恨まれるキャラ…?」
「おいおい、キャラで決めてやるなよ」
「うーん…そうなんだけど…」
「ぶっちゃけキャラじゃねぇけどな」
「うん」

とはいえ、不確定要素が多すぎて何かを確信するには足りないものだらけだ。
なあ庄ちゃん、ときり丸が僕の顔を見る。

「…困ったときは?」
「先生に聞こう…?」

僕らの決まり文句とはいえ、すっかり懐かしくなってしまっている台詞に、2人で顔を見合わせた。
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取り扱い傾向
食満三木・食満綾・文団 基本的にマイナ。 全て脳内妄想による捏造の産物です。 新たに与四兵始めちゃいました。
プロフィール
HN:
航輝
性別:
女性
自己紹介:

団蔵、きり丸、文次郎、滝夜叉丸は不動のベスト4ですがその他の子たちも大好きです。その時の熱の入り方によって傾向がかわるやもしれません。
連絡先→ ar.k512.roger★hotmail.co.jp ★→@でドウゾ。
twitter→takeya_chika(航輝)です。時々つぶやいています。