半恋慕

食満三木前提の、食満綾部です。
綾部は他の人が好きです。


そんな文章的に激しいものではないですが、
浮気とか絶対やだ、という人は要注意。


























私は､貴方が考えるよりもあなたのことがが好きですよ



そんな事を言われたって私を見てくれないなら意味がない｡
他の人になさいと諭すくらいなのに､半端な好意は残酷だ｡

｢食満先輩｣
｢ん…？どうした綾部｣
｢別に…｣
とりあえず抱きつく｡
蛸壺を掘ったあとは土にまみれて汚れているけど､先輩も壁の修だ何だと常に清潔に保つのは難しい人だからきっと構わないだろう｡
この程度で嫌な顔をするのは潔癖症の１年ろ組くらいだろうし｡
｢なんかあったか｣
｢いえ別に｣
何もなさすぎて泣きたいんです､とは言えなかった｡



｢良いでしょう､これくらい｣
三木には黙っておきますから｡
だから､これくらい｡
先輩は僕の頭を撫でる｡
｢…バレるようなヘマなんかしねぇよ…｣
｢バレたら私が撃たれます｣
｢だからヘマなんか｣
｢心配してないですけど｣
そうか､と黙り込んで頭を撫で続ける｡

｢好きですよ先輩｣
｢あの人の次にか｣
｢…順番まではちょっと｣
正直言うと分からないし｡
｢でも好きです｣
｢…俺も好きだよ｣
――三木の次に､でしょう？
顔を胸に埋めてから笑ってやる｡
｢当たり前だろ｣
先輩が笑うのを気配で感じた｡



｢先輩｣
｢…なんだ？｣
｢しましょうよ｣
｢何で｣
｢好きだから｣
｢良いのかよ嫌がるだろ｣
｢他の人を捜す方が有り難がります｣
｢見つける気もねぇくせにな｣
｢そうですけど｣
ま､いいけどな､と額と瞼に口付けをくれる｡



私より良い人はいますから､私のことは諦めて下さいよ



そんなの無理だ｡
貴方も私を好きなら好きで済めばいいのに｡
そんなに簡単じゃないのは分かっているけれど｡
｢…あの人､また殴られるんじゃないか…？｣
｢殴られたらいいんですよ｣
どうせ変わりはしないんだから｡



帯に手をかけ口付けた｡