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食満さんと三木さんです!
けま!!! はやくしろよ!!!! という気分になりながらの7つめです。 まだ、もうちょっと! よろしくお願いします。 「じゃー食満、僕もう行くから」 頑張って、と笑みを浮かべて出て行った。行くなと言えば此処にいただろうか、あいつは。 夕食前、今夜田村が来るらしい、と伊作に告げた。 「…で?僕にどうしろって言うんだい。もしかして、田村の色気にビビって1人じゃ夜を過ごせませんって言うんだ」 良いよそれなら僕いてあげる、怖いんだもんねーなどと言うからアホかお前、と一発殴る。 「そんなんじゃねぇよ」 「そう?じゃあ僕にいて欲しいじゃなくて出てけって言いたかったんだ」 「…あのなぁ伊作…」 なに、そうじゃないの?と楽しそうなこいつを見てると力が抜ける。 「今夜こっちに来るらしいから、お前も覚悟しとけってだけだ。…他は何も強制しねぇよ」 「へーそう」 ま、良いけどね、と言いながら心の底から楽しそうだ。良いけどな。どうせお前にとっては他人事だもんな。 判るぜ、俺だって潮江の奴がこうなら力一杯楽しんだだろうからな。 「…ま、そーいうことだから、宜しくな」 「はいはい」 無性に悔しくて、もう一発殴ってやった。 「…来るのかねぇ、田村は」 明日の授業の準備は万端、あとは寝るだけ。大人しく待っているのも癪だなと棒手裏剣を磨いてみる。 「……………」 何か俺、この時間の過ごし方は間違ってるよな。どう考えても田村を待ってます、っていう雰囲気が全面に出てるよな。もう寝るだけなのにわざわざ起きて待っているってだけでも俺はどれだけ田村を待ち望んでいるんだ。 考えながらも手は動く。 布で拭き、擦り磨き、1本ずつ並べていく。 「……………」 磨く。置く。磨く。 磨く磨く磨く。 駄目だこれは絶対に違う!!! 新婚夫婦で夫の帰りを待つ妻か俺は!!! 全て磨きあがった棒手裏剣を片付け、寝よう、もう寝るしかない、とどこか焦って考える自分に気付いて更に落ち込む。 何をしているんだ自分。 やれやれ、と布団に潜り込み、起きててやる義理はないよな、と灯りを吹き消し目を閉じる。 …田村が来たら目が覚めるだろ。 そんな事を思いながら、短い時間で意識が消えた。 「じゃあ三木、いってらっしゃい」 健闘を祈るよ、と喜八郎が肩を叩く。 「見慣れた私たちでさえ驚くんだからな!!変なことをしなければ問題ないだろう」 滝夜叉丸も前進を細かくチェックして笑顔をくれる。 「髪は完璧だからね」 心なしかグッタリしたタカ丸さんに、スミマセンと謝った。 「良いよーその代わり頑張ってねー」 行ってきますとこの3人に言うのも変な話だと苦笑しながら部屋を出る。 6年長屋に向かって歩きながら、何故昼間「今夜行きます」と宣言してしまったのだろうかと溜め息を吐く。 突然の訪問でも良かった筈だ。なのに何故か、宣言するべきだと思ってしまった。 ――正々堂々、というのも変な話だな。 歩きながらふっと笑う。 自分と分かっていて気持ちが揺らがなければ意味がない、とでも言うのもおかしな話だ。実践に於いて、そんなことは有り得ないのだから。 そんなことを考えている間に6年長屋に辿り着く。あえて廊下での足音を消すこともせず、部屋に掛かっている善法寺と食満の札を見つけ出す。 「食満先輩」 元々返事は期待していなかったので、入りますよ、と一言添えた。 一寸ほど戸を開けてみる。灯りはなく、かといって気配がないわけでもない。 寝ていたとしても流石にもう目覚めただろう。 身体に僅かな緊張が走る。 やっと通れる程度に戸を開き、部屋の中に滑り込む。 何となく戸は閉めないでおいた。仄かな月の光を背負う方が良いかと考えたのは一瞬。 「食満先輩」 布団の中から神経はこちらに向けられているのを感じる。 少し近付く。 「…………」 こっちを向いてくれないとつまらないな、と布団の側に近付き囁く。 「食満先輩、…こちらを向いてはくれないんですか」 「………」 「私を見るのが怖いですか?」 それなら嬉しいですけどね。気配に苛立ちが加わるのを感じて少し笑った。 「ね、先輩」 触れようと頬に向かって手を伸ばした瞬間、手首を掴まれ引っ張られた。 「せ、」 「おい、田村」 顔の脇に手を突き、先輩を見下ろす格好になる。 下からの射るような目線が痛かった。 「調子に乗るなよ」 腕を引っ張ってやったら小さな声がした。 油断している方が悪い。 戸を閉めなかったようで部屋は十分過ぎるほど明るかった。 顔が見えて、一瞬息を止めた。 全くこいつは。 「…相変わらず、化けるじゃないか」 ひと月程しか経っていないのに、この雰囲気の変わりようときたら何だ。仮にこれが俺の為なんだとすれば、男冥利に尽きるというものではなかろうか。 「…参ったな」 仙蔵、お前の言うことは間違っていなかった。流石お前のお墨付きというだけはある。 「良い女だな、全く」 ここが遊郭なら買ってるよ、と言ってやる。 「私が遊女ではなくて残念ですね」 笑いながら言い返すこいつから目が離せない。 こっちを見る目の、少しだけ端のあがった口の。白い首筋から醸し出しされる艶やかさ。13の子供の持つものだとは思えなかった。…いや、信じたくなかった。 あぁくそ、参った。 「田村」 起き上がり、きちんと向き合い、顎に触れる。 「何ですか?」 薄く開いた唇から、無理矢理視線を引き剥がす。 「…俺の負けだ」 十分だ、文句なしだ、と呟いてやる。 「それはよかった」 にっこり満面の笑みだ。そんな田村の耳元で、これはどうだろうなと思いながらも囁いた。 「…俺に抱かれる気はあるか?」 我ながら、何言ってんだと笑いたくなる。 「折角俺がよろめいたんだからな…どうする?」 目を見開いても良い顔してるな、と黙って額に口付けた。 PR |
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食満三木・食満綾・文団
基本的にマイナ。
全て脳内妄想による捏造の産物です。
新たに与四兵始めちゃいました。
プロフィール
HN:
航輝
性別:
女性
自己紹介:
団蔵、きり丸、文次郎、滝夜叉丸は不動のベスト4ですがその他の子たちも大好きです。その時の熱の入り方によって傾向がかわるやもしれません。 連絡先→ ar.k512.roger★hotmail.co.jp ★→@でドウゾ。 twitter→takeya_chika(航輝)です。時々つぶやいています。 |