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慕情


次は文次郎になりました。












算盤を片手に颯爽と歩いていく後ろ姿。背筋は伸びて目線もまっすぐ。
「ちょっと潮江」
これって職権乱用なのかな、そんな事を考えながら、目の前を歩く会計委員長を呼び止めた。
「…はい?」
何か決算書類に不都合でもありましたか、という疑問付きでクルリと彼が振り返る。
「いや、そうじゃないよ」
プライベートな事でね、と付け加えると、心底不思議そうな顔をした。
「…俺のプライベートですか…?」
そう、今ちょっと、時間はあるかい?と問えば慌てて彼は頷いた。
少しだけ不安を瞳に覗かせて。



「悪かったね、忙しいだろうに」
「…いえ」
問題ないです。
そう答える彼の顔をまじまじと見てしまう。
彼はどんな目で団蔵を見て、どのように接しているのか。
「先生…?」
黙って見つめられて、不審に思わないはずがない。目は口ほどに物を言うのだから尚更。

「…団蔵がな」
ピクリと肩が動くのが目に入る。
「聞いてきたんだ、先生好きな人がいた事ありますかって」
「…は」
それは、と言いかける潮江を軽く手で制す。
「勿論あるし、好きになるのが悪いとは思わないよ、と言っておいた」
「それを」
「それを君に言ったのは、知って欲しかったからかな」
度々遮って悪いね、と言ってから言葉を続ける。
「忍者の三禁を破るんじゃないかと心配していたから、溺れなければと」
これは推測だけれど、あの子は多分、君のことも考えていたのだろうから。
自分が望んでしまった時に、学園一忍者している先輩が三禁を破ることになったらどうしようとか、そんな事まで考えたに違いない。
「…それは、俺にも言っているんですね」
「そう聞こえるかな」
そして自分自身に言い聞かせてもいる。
「先生」
「何だい、潮江」
「俺は未だそこまでは」
「…団蔵にそう伝えたんだよって話だよ」
「そうですか」
「さぁ、話は終わりだ、悪かったな呼び止めて」
「いえ」
じゃあ俺はこれで、と立ち上がる。
「…そうだ先生」
「うん?」
部屋から出る間際に潮江が振り返る。
「先生の想い人は、忍ですか」
…これはまた直球な。
会計委員は皆そうなんだろうか。
「いや、違う。…あー…まぁ、武人ではあるけれどね」
チラリと掠める金色の。
ダメだ、考えると顔が笑ってしまう。
「…上手くやってるんですね」
見習いたいもんですよ。
そう言い捨て、ニヤリと笑って出て行った。

「こうも直ぐバラしてちゃ忍びとしては失格だよなぁ…」
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取り扱い傾向
食満三木・食満綾・文団 基本的にマイナ。 全て脳内妄想による捏造の産物です。 新たに与四兵始めちゃいました。
プロフィール
HN:
航輝
性別:
女性
自己紹介:

団蔵、きり丸、文次郎、滝夜叉丸は不動のベスト4ですがその他の子たちも大好きです。その時の熱の入り方によって傾向がかわるやもしれません。
連絡先→ ar.k512.roger★hotmail.co.jp ★→@でドウゾ。
twitter→takeya_chika(航輝)です。時々つぶやいています。