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与四郎と兵太夫が楽しすぎるのでサクサクあげれますね!!!!
需要無いから自分で書くしかないという。




















声がぶつかる、そんな気がした。

「よぉ」
裏山でカラクリの試作をしていたら、確かに力がぶつかった。
大きな力ではないけれど、背中に圧力。
聞こえるのは声だけなのに。
「よ、カラクリ好きの兵太夫」
圧力は強くなる。体中に力が入る。自然と何かを警戒したみたいで、その何かは声の力だと気付くのに少し時間がかかった。
喧嘩をするときの先輩の声みたいだと、少し怖くなる。
「…錫高野さん?」
ガサガサと音を立てて出てきた見慣れない色の制服の彼。

「言っただろう、カラクリ仕掛けを見せて貰うと」
だから来た、と何でもない事のように言われても。
せいぜい、ひと月くらいしか経っていないのに。
ここは近畿の忍術学園、アンタがいるのは足柄山の風魔の忍術学園だろう、ひょいひょい来ていいのかと思う。
休みの度に金吾と喜三太があんなに苦労しているのに?
「…それだけで来たって、何を考えてんですか」
「そんなカリカリするなよ兵太夫。お前が考えるほど時間は掛からない」
「かからないって…」
片道15日。それが間違いだっていうことか。
それにしても、やる事はないのか風魔の6年生。
「だからついでだ。課外試験。終わった後に足を伸ばすくらい訳もない」
やはりこの人は事も無げに言うけれど。
だからって、僕が作ったカラクリを見る、たったそれだけのために来る距離とは思えない。
「だからお前は何も気にしなくて良い」
「はぁ…別に何でも良いですよ」
なんでこう、イチイチやる気を無くさせられるんだろうこの人に。合わないとしか言いようがない。
やれやれ、と溜息を一つ。
そんな僕を気にしてかしないでか、カラクリを眺めて楽しそうに声をかけてくる。
「なぁ、今日は何を作ってるんだ」
「作法委員会で使うんで、落とし穴に仕掛けたら楽しそうなのを」
生憎、僕はあまり乗り気じゃないのが返事にも表れている。悪いと思わないでもないけど、何でか親切な返事をしたくない。
「委員会で落とし穴…?」
「ウチはそんなもんですよ」
体育だったらバレーボールで会計なら匍匐前進、保健だったら不運です、と続けてやる。
「…委員会でやる意味は分からないが、良い。これはお前が1から10まで考えて作るのか」
「まー部屋の改造は三治郎と一緒で、あとは各自」
「大したもんだ」
「誉めても何も出ません」
「期待してない。…楽しそうだな、色々」
「うん」
楽しいですよ色々、と言ってやる。
へぇそう、そりゃ良かったと言いながら一通りの仕掛けを眺め触って確かめる様をぼんやりと見てた。
「なぁ兵太夫」
「…何か変なとこでも」
「次に会ったら半刻で良い、俺に付き合え」
「は?」
何を言い出すんだこの人。
「逢い引きだ」
「はぁ?」
逢い引き!?そんなことする間柄か僕ら。
「逢いたい」
「何で」
「気に入った」
「カラクリ」
「兵太夫」
「ふざけてる」
「意味がない」
は、と息を吐き、僕の手を掴み、睨まれる。何だよ。少し怖い。
「お前は俺に逢いたくないか」
「…は?」
質問の意図が分からない。
何、何を僕に言いたいんだ。
「逢いたくないのか」
「いや別に」
「なら良いだろう、俺が逢いたい」
止めてよ、この声の圧力。
これ以上気圧されたくないと力を込める。
ホントはこの人どうしようもないんじゃないか。それとも6年て皆こうなのか。団蔵にきいてやりたい。
「どうぞご勝手に」
「うん。楽しみだ。な、兵太夫」
そう言って再びカラクリを手に取った。

耳に残るこの声をどうしようかと顔をしかめた。
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取り扱い傾向
食満三木・食満綾・文団 基本的にマイナ。 全て脳内妄想による捏造の産物です。 新たに与四兵始めちゃいました。
プロフィール
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航輝
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女性
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団蔵、きり丸、文次郎、滝夜叉丸は不動のベスト4ですがその他の子たちも大好きです。その時の熱の入り方によって傾向がかわるやもしれません。
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twitter→takeya_chika(航輝)です。時々つぶやいています。